イノプロ2年D組Day2 2021年10月28日のメモです。
シード期のベンチャーに投資するベンチャーキャピタル”mint“の田島ひかる様(@hika_taji0527)をお招きしました。
田島さん御講話の概要
田島さんからは、「投資家は、起業プレゼンのどこに注目しているのか?」についてお話しいただきました。
ポイントは、次の3つです。順番にお話しいただいた内容をまとめたいと思います。
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- 事業構想
- 起業家評価
- 経営チームの評価
事業構想
事業構想で見ているポイントは3つあるそうです。この3点は、起業プレゼンの資料で必ず触れる箇所を作りましょう。
また、「ユニットエコノミクス」「MVP」という言葉がでてきました。どんな意味なのかだけでも知っておきましょう。
①市場規模
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- IPO(上場)をゴールするときに、それに見合うだけの大きな市場なのか?
- 小さい市場でも問題ないが、その場合は成長性をいかに説明できるか。
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②競合
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- 自社のポジショニング。先行プレイヤーとの差異はどこか?
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③ビジネスモデル
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- 誰の、どんな課題を、どのように解決するのか?どれくらいお金を貰えるのか?
- 「ユニットエコノミクス」「MVP」という言葉を覚えときましょう。
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MVP (Minimal Viable Product)検証について
MVPを直訳すると「実用最小限製品」。要は試作品。モック版、パイロット版です。
お試し版を作って、お客さんの反応を試してみましょう。ってことですね。
試作でお客さんからどんな反応があったのか?具体的な話ができれば、投資家への説得力が増すとのこと。
ユニットエコノミクス
ユニットは「個」「単位」です。事業プランを考えるときに、売上の伸びだけでなく、1個モノを売る(一人のお客さんを掴む)のにかかるお金の出入りを把握しようという考え方です。
3年後5億円のビジネスになります!っていうアピールだけでなく、自分の考えてるビジネス。たとえば、冒頭のTシャツの話だと、1枚作るのに3000円かかったら、定価いくらにするか?ほかに宣伝費、倉庫代、アプリサーバー代とか。ひっくるめて1枚当たり、1人あたりいくらなのか、把握してみようということです。
起業家評価
投資判断には、どんな「人」なのか?一緒にやって楽しいのか?といった側面も大事なようです。
①「人」に投資する
スタートアップは、最初考えていたビジネスと違ったビジネスに変えることもあります。それを「ピボット(pivot)」と呼びます。
投資家としては、事業がピボット(変化させる)させても、すでに投資しているお金を返ってきません。そんなとき、「あなたを信頼している」「あなたが考えてやってるのなら」ということではあれば、投資したことに納得させられます。
②学生起業家が見られている点
学生起業家の話をたくさん聞いている田島さんは、社会人起業家と学生起業家では、見ている視点が違うことを話されていました。
それは、
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- オトナとのコミュ力(素直にアドバイスを受け入れるなど)
- 会うたびに成長(変化)を感じられる
の2点でした。起業はただでさえ難しいのだから、一緒に盛り上げてやっていきたいとおもせるのが大事なのだと思います。
今日のテーマは、「Why Now?」
田島さんから、学生には「なぜこのタイミングで投資をしなければならないのか?」投資家から問われたら、どう答えるのか?そんなお題が出されました。
このお題に取り組んでもらった狙いは、「市場調査」の必要性を理解してもらうためです。
自分の「夢」を、ただ語ると、たんなる「起業ポエム」になっちまいます。オトナや仲間を説得するためには、客観的なデータで翻訳する必要があります。
ので、プレゼン時の資料には必ず市場規模・成長性を入れましょう。
市場調査って?
「市場調査?はっ?」っていう人も多いので少し説明します。
たとえば、自分が考えている事業が「Tシャツを作って売りたい」だとしましょう。
Tシャツの市場って?
仮に、「Tシャツのデザインをユーザーがアップして、買いたい人とマッチングさせる」というサービスを作りたいとします。
とりあえず、グーグル先生に聞きましょう。
たとえば「Tシャツ マッチングアプリ 市場規模」で聞いてみます。
すると、「繊維産業と経済産業省の取組(2020年1月7日版)」という資料がヒットしました。
この資料の7ページ目に、「フリマアプリの市場規模」というグラフが載っています。これ、使えそうです。
ほかに、5ページ目に、「国内アパレル供給量・市場規模の推移」も載っています。これがTシャツ関連サービスのいちばん大きな枠=市場と捉えてよさそうです。
こんな風に、①自分たちの会社の規模、②同じようなビジネスの規模、③最大限大きく考えたときの規模。こんな3段階で、市場規模を説明するようにしましょう。
この3段階、難しく言うと「TAM・SAM・SOM」と言います。大きい順にタム・サム・ソムです。
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- TAM(Total Addressable Market)自分たちの製品・サービスが属する市場(Tシャツ販売だったら、アパレル(繊維産業)全体)
- SAM(Serviceable Available Market)ターゲットを絞った時の市場規模(年代で区切ると、たとえば若い世代、10代、Z世代)
- SOM(Share of Market)自分のサービスの直接のお客さん
この3つをプレゼン資料に入れておくと「わかってるな」となるでしょう。
ここまでをまとめると
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- 「市場調査」をする。
- タムサムソムの3段階(TAM, SAM, SOM)
- 規模と成長性を把握する
こんな感じでしょうか。
「TAM・SAM・SOM」と「ユニットエコノミクス」は、1年D組Day4で起業家MUGENUPの芝川COO・丹治CFOをお招きしたときに、投資家に事業説明をするときの必須項目として挙げられていました。授業ブログはコチラから
「Why Now?」を説明する5つの視点
市場が変化しているとき。これが、自分のビジネスが成功する必要不可欠な条件です。
その変化のポイント。ゲストの田島さんは5つの変化を挙げてくれました。
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- デバイス・プラットフォーム
- テクノロジー
- ユーザー行動
- デモグラ
- 規制
この5つの変化が起きているときが、新しいビジネスを立ち上げるチャンスであるということですね。
例を挙げてみます。
・デバイス・プラットフォーム
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- テレビからパソコン → Netflix、YouTubeが成長しました。
- パソコンからスマホ → FacebookからTiktok
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・ユーザー行動・デモグラ
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- コロナで在宅勤務が増える → zoom
- いままでいなかった人たち、モバイルネイティブな若者が登場する
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・規制
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- 規制とは、政府が課すさまざまなルールのことです。医療や学校、通信・放送などなど。法改正は、大きなビジネスチャンスです。いままで禁止されていたことが、可能になる。いまある会社では対応できない。だから新しい会社にチャンスがあるという文脈です。
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この5つの文脈で「Why Now?」を説明してみましょう。
まとめ
今日は、ベンチャーキャピタリストmint 田島ひかるさんをお招きして、貴重なお話を伺いました。
- なぜいま?Why Now?を説明できるようにしておく
- 投資判断には、「人」も含まれる
- 市場調査を必ず行う
この3つ、1つでも頭に残っていたら嬉しいです。
田島ひかる様御講話録画
授業構成
田島様御講話・お題(20分)
グループワーク(60分)
発表(20分)
田島様講評(20分)
グループワーク(60分)
システム構成
- ゲスト田島さんと自分はzoom。学生は教室集合ですが、zoomにログイン。
- ネット速度:下り893 Mbps、上り864 Mbps(有線LANにしました)
- ブレイクアウトは事前にアップロードしたファイルが機能せず。振り分けたルームに学生が自分で入ってもらいました。
- Mac Book Air、予備機 富士通