イノプロ日記

バブルの王様 森下安道 日本を操った地下金融 – 森功

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1980年代バブル時代のお話。森下安道や「アイチ」という会社の名前は知っていましたが、どんなことをやっていたかまでは、知りませんでした。

イトマン、グリコ、ハンナン、金屏風、武富士などなど。アイチ森下氏も、そんな企業・人物群と同じにグルーピングしてました。

この本を読むと、森下氏も起業家の一人だったことがわかります。

洋服製造で起業、貸金業にピボット

終戦後の1950年代、愛知県の田舎から兄を頼って東京神田に出てきます。衣料問屋で数年働いたのち、20歳で洋服製造の「丸藤商店」を創業します。

丸藤商店は、企業向けに制服を作る仕事で急成長します。ただ、とても利益率が悪く、さらに支払いサイトの問題で資金繰りも厳しかったとのこと。

「繊維商売だと、まず生地を買って倉庫に保管して、それを加工して、出来上がった製品をまた倉庫に在庫して、やっと販売しても現金ではなく売掛金になる。代金の受け取りが手形ですからね。集金して資金化するまで大変な月日がかかる」(p.53)

「当時の洋服の取引では、代金の支払いが二ヶ月後の月末締めで、さらに約束手形の期限が二五〇日だったという。すると、手形の決済期日までは待って現金収入にできるのは、販売してからおよそ一年後になる。」

「夏の特需ものを納めたとして、冬物の見積もりをする頃ようやく手形を受け取って、来年の夏物に取りかかるこおでないと手形が落ちない(現金化できない)これでは、仕入れの金利負担もありますから、利益が六パーセントから八パーセントしか出ない。」

こうした生々しいしい話は、起業するiU生に参考になると思います。

その後、取引先に資金を融通を依頼されることが多かったことから、貸し金業を始めます。いまでいうピボットです。

手形金融というイノベーション

そのビジネスは「手形金融」と言われるものです。

①金繰りに困った企業に手形を発行させる。
②その手形を担保に、お金を貸す。
③手形が落とせなかったら、土地など資産を差し押さえる。

資金需要のある企業側は、手形を発行すれば、すぐにお金を用立てできる。無から有を生む魔力です。

もちろん、期限までに自ら発行した手形を落とせなければ、他の資産をおさえられてしまいます。

ただ、高度成長時、必要資金を銀行も誰も貸してくれない中小企業にとって、この「手形金融」という手法は、ニーズがあったのでしょう。

世の中のニーズ(課題)を満たす(解決)ことが、新たなイノベーション(商売)になる。

森下氏は、時代に合った起業家だったのでしょう。

他、本に書かれているエピソード

ドナルド・トランプとの交流。新自由クラブ設立の金主だったこと。ゴルフ会員権ビジネスの始祖であること。クリスティーズの株主になり、2000億円以上アートの買い付けに費やしたこと。他にも、ロッキー青木、月光荘、田中角栄、小佐野賢治、山口組などなど。。

1973年の中にスタジアム事件。74年に中日は優勝してますが、中日スタジアムが経営不振になった話は初めて知りました。

東京五輪で捕まった電通高橋治之氏との関係も書かれています。

高橋氏が、FIFAやIOCなど組織に食い込めたのも、実弟のイ・アイ・イグループ高橋治則氏の資金力があったから。引退親善試合のため、ブラジルのペレを連れてきた時に、彼のプライベートジェットを使った。高橋治則氏の葬儀に安倍元首相が参列してた。とか、サラっと書かれています。このイ・アイ・イグループの金主がアイチ森下氏だったそうです。

今回も森功氏の著作です。バブル時代の事件・人物をたくさんインタビューされていて、「あ。この話はあの本と通じる」みたいなことがたくさん書かれています。森功氏が描く全ての人物が登場するバブル絵巻物を読んでみたいです。

そういえば、iU生にオススメの「億万長者の挑戦(ディスカバリーチャンネル)」が立ち上げたビジネスも貸金業でした。

この本も図書館にあります。